2022年現在、日本には約500ヵ所のブルワリー(ビール醸造所)があります。
その多くが、自家醸造のクラフトビールを作っています
これだけ増えてきたクラフトビールですが、一般的な(普通の)ビールよりは高いですよね。
なぜ、クラフトビールは高いのか。
少量生産だから、というのはもちろん、保管・管理コストが高い事と、賞味期限が短い事、が主な理由です。
加えて、日本ではビール自体が酒税法の影響で割高である、という背景があります。
クラフトビールはなぜ高い? 3つの理由
一般的な、大手メーカーのビールは350ml缶で200円前後です。
クラフトビールは、比較的大きな醸造所のもので300円、小さな醸造所のもので400円、500円くらい。
中には1000円近くするものもあったり、「普通のビール」と比較すると、クラフトビールは高いです。
この理由はどこからくるのでしょうか
少量生産だから高くなる
1つ目の理由として「クラフトビールは少量生産だから高い」という事が言えます。
ビールの価格は、設備の規模に大きく左右されます
大手メーカーは、機械による自動化や、技術を駆使しながら大量生産する事により、生産コストを下げています。
それに対して、クラフトビールは仕込みサイズが小さく、機械化、自動化も進んでおらず、人力で作業しているところも多いです。
製造量が少ないために、原料である麦芽やホップもスケールメリットを活かせるほど仕入れられず、生産コストが高くなります。
クラフトビールは保管・管理コストが高い
2つ目は、クラフトビールは保管・管理コストが高い事です。
大手メーカーの普通のビールは、常温で流通しています。
対して、クラフトビールは無濾過・非加熱の製品も多く、常温では品質が劣化してしまうものもあります。
なので、冷蔵輸送・冷蔵保管する必要があり、高くなります
クラフトビールは賞味期限が短い
クラフトビールが高い理由、3つ目は賞味期限が短い事が上げられます。
大手メーカーのビールは、製造日から9ケ月とされています(キリンやアサヒの公式ホームページより)。
それが、クラフトビールの場合、30日や100日など、大手に比べると賞味期限がとても短いのです。
アメリカに比べると、日本のクラフトビールは安い?
クラフトビールは高い、という前提で書いてきましたが、実は日本のクラフトビールは高くはない、という事についても書いておこうと思います。
地ビールの時代から赤字続きだった業界
クラフトビールという呼び名の前、地ビールが流行した時代がありました。
1994年に酒税法の改正によって、全国各地でビールが作られるようになった、あの時代です。
そうしたクラフトビールの歴史や定義について、下記記事で書いています
地ビール・クラフトビールは儲からない?
自治体が出資した例もあり、事業自体が赤字でも「まずは地ビールが話題になれば良し」と、儲からないような価格で販売してきた、という流れもあるようです。
下記記事に、そんな事情が書かれています
>「クラフトビールを高く売るプロジェクトを始めます」元物理の先生→交通事故で一度業界を引退した異端児が提案する、絶品の限定ビールの味
酒税法改正によって今後は安くなる(クラフトビールだけでなく、ビール全体の話し)
もう一つ、クラフトビールだけではなく、ビール全体に関わる、酒税法についても。
ビールの小売価格は、その約3分の1が酒税です。
2026年10月には「ビール」と「発泡酒」や「第三のビール」が同じ税額に
他のお酒に比べると、ビールの酒税は高く設定されていますが、2026年10月までに段階的に減税されていきます。
同時に、「発泡酒」や「第三のビール」は増税されます。
つまり、クラフトビールを含めたビール全体が、金額的にも相対的にも、安くなるのです。
ビールの酒税については、下記記事が参考になります
日本のブルワリーを応援しよう!
現在、日本国内約500ヵ所のブルワリーが、自家醸造のクラフトビールを作っています。
そのクラフトビールの価格が高い3つの理由と、地ビール流行の時代からの、赤字体質の事、そして酒税法改正による影響について書きました。
ビール好きとしては、美味しいクラフトビールが増えて欲しい、と思います
その為には、高いクラフトビールもあれば、そうではない(安い)ビールもあり、ビール業界全体が盛り上がっていってくれたらなぁ、というのが多くの人の気持ちではないでしょうか。
クラフトビールを飲みながら、小さなブルワリーも応援しつつ、ビールの明るい未来に乾杯!したいですね。
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